どうしようもない、心のざわつき~映画『ファニーゲーム U.S.A.』を観た。

ファニーゲームU.S.A. [DVD]

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 ああ・・・なんという映画を観てしまったんだろうか・・・ああ・・・この気分をどう表現していいいんだろうか・・・。心が、ざわついて止まらない・・・。
 
 ミヒャエル・ハネケといえば、知る人ぞ知る、トンデモナイ映画を撮ることで有名な監督・・・らしい。らしい、というのは、俺は勿論そんなことは知らなかった。そして今回それを思い知ったわけだけど、それまで、俺にとっての映画監督ハネケは、数ヶ月前に銀座の映画館で観た『愛、アムール』のハネケだ。そして勿論俺は『愛、アムール』で見られた濃厚な人間ドラマを期待してこの映画を見始めたわけだ。
 
 映画の内容を簡単なに説明すると、ある金持ちそうな家族が避暑地の別荘に遊びに来た時、隣人の親戚だという二人の男がその別荘に訪ねてくるんだ。そしてその隣人の親戚だという二人の男が、その金持ち家族を皆殺しにして終わり、っていう映画なんだけど、本当にそれだけの映画なんだ。本当にそれだけ。ファニーっていうにはあまりに軽くて、ゲームっていうにはあまりにも簡単に人が死んでいく、サスペンスドラマ。救いなんてまったくない、淡々と、ただひたすら淡々と一人ずつ殺されていく映画なんだ。
 
 ただ、ただ、非道い映画で、人によっては多分観るのも嫌だし、ハネケっていう名前を聞くだけでじんましんが出る人もいるんじゃないだろうか。
 
 そんな非道い監督が作った非道い映画なんだけど、実は俺はこの映画、嫌いじゃない。最近のテレビから派生した日本映画よりも、断然好ましい、と思っている。それは、この映画を観てしまったら、今後はこの映画を基準にしか他のサスペンス映画を見れないだろうと思うからだ。それだけ俺にとって、この映画を観るということは強烈な体験だったわけだ。そして今、そんな体験をさせてくれたハネケ監督に感謝すらしたい気分になってきている。
 
 他のハネケ作品も観たくなったわけだけど、どうしようか。観てしまったら絶望して今週を乗りきれなくなるかもしれないが、どうしたものか。