なにも得られなかった大学時代


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  疲れた、はっきり言って疲れた。はっきり言わなくても疲れた。 疲れた。周囲は夏なのに一人、雪道を歩いているようなとても孤独な気分。なんでこんな疲れてんのか、ただ生きるというだけがなんでこんなにしんどいのか。頭の弱い俺にはよくわからない。

 

  俺はこれまで小学校から中学校、高校、大学、大学院まで出てしまっていて、それで手に入れたものといえば、 人の指図の通りに動くことを厭わない奴隷根性だけ。怒鳴られるのが嫌だから、怖いから従う。怒られると身体硬直してしまって、何もできなくなるし考えられなくなる。それでも一丁前に反抗的な表情はするものの心は恐怖に縛り付けられてしまっている。
 

 だから、怒られないためなら、自分の身を守るためなら、多少の他人の犠牲も厭わない奴、臆病だから徹底的に卑怯になれる奴、そんなクソ野郎になってしまった。臆病心だけが生きるために必要だと言ったのはセリーヌか。

 
 そうなんだ。手に入れたのは奴隷根性、恐怖心、そしてちょっとばかりの学歴だけ。昔あこがれていたものは粉々に消え去り、それを手にしている人間への嫉妬心だけが残ってしまった。こんなはずではなかった。こんなはずではなかった。
 
 それでも何かそれを埋め合わせるようなものがあれば、こんなことにもならなかったんだろうか。孤独でなければもう少し人生に生きがいを感じることができたんだろうか。大金を払って大学まで出たのに何もえられなかった。

 

 ああ、もう何もしたくない何も考えたくない。なんか宝くじでもあたっちゃって、安心して生きる資格が欲しい。