身辺雑記

 そんなこんなで、せっかくユニークな哲学的存在であったはずのゾンネン・パルタイも、いつとはなしに崩壊してしまった。私たちは、悲しいかな、やはり太陽の生まれではなかったのである。
 
北杜夫『どくとるマンボウ青春記』
 久しぶりに気分のいい朝を迎えた今日は、ごろりとベッドに横になり、本のページをひたする繰る。今読んでいるのは北杜夫『どくとるマンボウ青春記』。青春を謳歌する快活さと、孤独を知り始める頃の哀愁の、両方の感情の間で揺れる少年がとても上手く描かれており、暗い青春しか知らない俺でも、読んでいて気持ちのいい作品だ。これまで北杜夫の作品は食わず嫌いだったけど、これを機に少しずつ手をだそうかなと思うことができた。この本に関してはまた、読了後まとめてブログに感想でも書きたい。
 
 そんな読書の合間に窓から外を見やると相変わらず空は雲で覆われている。そんな空の下、灰色に塗りつぶさた街並が見える。こういう天気、こういう色彩をした風景は嫌いじゃない。快晴の青空の下、街が色彩豊かに栄えわたり、皆が笑顔で笑っているような光景よりも、雨が振りそうな曇天の下、街がどことなく静まりかえり、皆がうつむきがちになる光景、そんなものの方が自分の性にはあっている。ただひたすらとドンヨリとした空が今日も続きそうだ。
 
 あとは少し職場に顔を出し、今週の残りの仕事を片付けて、一日を終えたいと思う。
 
 今日が今日で終わればいいのだけれど。

どくとるマンボウ青春記 (新潮文庫)

どくとるマンボウ青春記 (新潮文庫)