懐かしいとはどういうことだろう。『オカンの嫁入り』を観た。
映画をぼーっと見ているとなんだか見覚えのある、緑色のあの車体が見えた。
な、なんだって・・・。としばし呆然。
こういう時抱く感情を、懐かしいといえばいいんだろうか。だけどそれほど感慨深く感じ入る何かを持っているわけではない。なんだろうかこの感じ・・・。
俺がそこに住んでいた時、確かに俺はそいつに乗って良く遠くへ出かけた。だけどただそれだけのこと。特別な思い入れなんかない。そしてそいつが走っている場所に関しても。その場所が嫌で飛び出したのだから。思い入れなぞあるはずがない。
その緑色の車体のそいつは映画全体を支配してしまっていて、それはつまり宮崎あおい扮する月子の運命をも翻弄してしまっていて、どうにもこうにもこの映画を見ている限りその緑のそいつから意識をそむけることができないでいた。
それは本来ならば俺にとって苦痛なはずで最初はやっぱり苦痛だったんだけど。月子のそいつに対する苦悶とそれを克服する過程を見ていると、いつの間にか俺の中の苦痛と複雑な感情がほつれていくような気がした・・・ちょっとだけ。
俺にとっては宮崎あおいの魅力と思わぬ来客にびっくりしたそんな映画だった。
にけつからの釣りのシーンが素晴らしかったね。
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