映画をぼーっと観る

 お盆明けからの二週間弱は猛烈に忙しく、精神的にかなりキツかった。怒鳴られ、嫌味を言われ、精神を削られながらも仕事をし、家に帰ってからは何もする気にならず、お気に入りの映画をただぼーっと眺めるだけ。そしていつの間にか眠り、朝が来て出勤する。そんな毎日だった。
 
 こういう毎日があと一ヶ月くらいは続く。うんざりである。こんなことが一生続くのかと思うとうんざりである。このがんばりの先に何が待っているのか、俺の目の前は真っ暗闇で何も見えない。
 
 映画をぼーっと見る時間。それだけが頼りだ。ただぼーっと、日常を忘れさせてくれる映画。劇的なストーリーやアクションなんていらない。少しきれいな映像と、少しの物語と、少し味のある演技があればそれでいい。ぼーっと映画を眺める、キツイ日々を乗り切るためにはそれが肝要だ。
 
 映画を観て辛い現実から逃げているというわけではない。なんとか自分を現実に繋ぎ止めるために映画を観ているんだ。